チョコプラの長田さんが診断された鼻茸(はなたけ)って何?
2019年11月に「チョコレートプラネット」の長田さんが、TBS医療バラエティー「名医のTHE太鼓判!」に出演された際、10年間悩まされ続けている鼻づまりの原因が「鼻茸(はなたけ)」と判明し、手術を決意する様子が放送されたようです。
※私はテレビは見ていないのですが、記事を読みました。
「鼻茸」と聞くとキノコみたいな感じがしますが、正式名称は「鼻ポリープ」と言います。慢性副鼻腔炎の約10~20%の方にできていると報告されています。鼻の中にできている様がキノコのように見えることから「鼻茸」と呼ばれています。
今回は、お問い合わせの多かったこの「鼻茸」について少しお話してみたいと思います。
▼鼻茸ってなんですか?どんな症状ですか?
「鼻茸」は、鼻の奥の「副鼻腔」というところの粘膜が腫れて垂れ下がりキノコのようになっている状態をいいます。
1個だけできてる場合もあれば、たくさんできている場合もありそれぞれです。
主な症状は、「鼻詰まり」や「匂いを感じづらくなる」ことです。
ひどくなると、頑固な鼻詰まりに加え、匂いも全くしなくなり、「眠れない・集中できない・ご飯の味がわからない」など日常生活に支障が出てきます。
▼鼻茸ができてるかすぐにわかりますか?
診断は簡単です。鼻の中を見てすぐに診断できます。
鼻鏡という鼻の中を覗く器械や、鼻の中を見るファイバースコープ(内視鏡)で直接観察できます。
さらにCTを使って撮影することで、左右のどの副鼻腔内にどれだけの量の鼻茸が存在するかを正確に診断することができます。
▼薬で治りますか?
残念ながら基本的に薬では完治しません。
ただ、クラリス錠というマクロライド系抗菌薬を3か月ほど内服すると、やや縮小します。
もし、喘息をお持ちの場合は、喘息と合併してできる鼻茸の可能性があります。
この場合は難治性となり、ステロイドの内服薬や点鼻薬を使うこともあります。
しかしながら、鼻の中に鼻茸が観察される場合は、基本的にほとんどの場合手術をしないと症状は改善されません。
▼どんな手術をするのですか?
手術は内視鏡を鼻の中に入れて行います。
内視鏡の画像をモニターで見ながら、「マイクロデブリッダー」と呼ばれる粘膜を吸引しながら切除する特殊な器械で切除していきます。
この「マイクロデブリッダー」は、「鼻茸以外の鼻腔の中の柔らかい組織を傷つけない仕組み」になっています。
例えれば、電気シェーバーで皮膚を傷つけずにヒゲを剃るようなイメージです。
手術は局所麻酔でも可能ですが、痛みや恐怖心がないように、最近では多くの施設で全身麻酔で行われます。
手術は通常日帰り、または1泊入院で行われます。
施設によっては1週間くらい入院するところもあります。
出血は少量ですが、手術直後はガーゼなどを詰めますので十分に鼻呼吸ができず口呼吸になります。そのため、遠方にお住まいの患者さんや体力のない高齢者、不安の強い患者さんや子どもさんは、手術当日は入院したほうが良いかもしれません。
当院では日帰り手術も行いますが通常は1泊入院で手術を行っています。
▼費用はどのくらいかかりますか?
手術は全て保険適応ですが、費用は手術を受ける患者さんの健康保険の負担額により異なります。また、同時にいくつかの手術を組み合わせて行うことも多いので、この場合も負担額は違ってきます。
最近では高額医療費の申請によって、医療費をかなり安くできる制度ができていますので、高額医療の適応にあたる場合は申請しておくと安心です。
いずれにしましても、費用等は事前に確認・相談できますのでお尋ねください。
▼最後に
鼻茸に限らず、鼻の病気に悩まされている人は意外に多く、また、自分で鼻の中がどうなっているのか見えないため、不安になって受診する方も多いようです。
鼻茸の中には、治りにくく厚労省の難病指定になっている副鼻腔炎もありますので注意が必要です。
現在は、CTや内視鏡などでその場で簡単に鼻茸の診断ができますし、重症度に応じた薬の治療が可能です。
また、薬で治らない鼻茸には体に負担の少ない手術方法があります。当院では現在までに約7,000例の鼻副鼻腔手術の実績があります。
つらい鼻詰まりにお悩みの場合は、諦めずにご相談ください。